原作ジョン・スタインベック、監督ジョン・フォード、主演ヘンリー・フォンダの1940年作
大恐慌後の田舎町、トラクターの導入により仕事を奪われ長年住んでいた土地と家を追い出された一家の元に出所した短気だが母親思いの長男(ヘンリー・フォンダ)が戻ってくる
家族は仕事があるというカリフォルニアにオンボロ車を走らせる(「タバコ・ロード」でもそうだがジョン・フォードではオンボロ車の描写が楽しい)
田舎では貧乏ながらも陽気暮らしていた一家が都会に近づくにつれ自分たちの現状に気づき暗くなっていく様がリアル(バカがシリアスにならざるを得ない状況を描く映画は「男をつらいよ」を含めて痛切)
1枚の募集チラシを頼りに向かったカリフォルニアだったが全国から同じような農民たちが押し寄せておりまともな仕事にありつくことはできず道中の疲労でおじいさんとおばあさんが次々と亡くなり他の家族も体調を崩していく
また元々カリフォルニアに住んでいた人達は仕事を奪いに来た田舎者を目の敵にしており、自警団を組んでリンチを繰り返していた
そのイザコザの中で主人公の妹の旦那は殺され、カッとなった主人公も相手を殺してしまい追われる身となる
トラクター=AI、田舎者=移民に置き換えればそのまま今のアメリカの姿となるのがジョン・フォード作品の凄み
「家を壊しに来るのが元ご近所さん(寝返った)で怒れない」といった描写も細かいところだが唸る、「本当の悪者」が出てこないところも既に現代的
作中の暴力描写は突発性、取り返しのつかない感じが真に迫っていて恐ろしかった
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